「知識がなくても“好き”は見つかる」声優・仲村宗悟が日本酒を嗜む ―― 超吟醸祭SPインタビュー presented by 鋼の肝臓KReTA No.5
2025/6/25

「知識がなくても“好き”は見つかる」
2025年10月、池袋で開催される日本酒試飲会イベント「超吟醸祭 powered by SIPORY」のトークショー第4部にゲスト出演する声優・仲村宗悟さんは、日本酒にそんな“整いの瞬間”を重ねて語ってくれた。イベントに先立って訪れた五反田の日本酒立ち飲みバー「クラノバ」で、数種類の日本酒を試飲しながら、自身の素顔、表現者としての姿勢、そしてお酒がもたらす人との距離感について、丁寧に、楽しげに言葉を紡いでくれた。
その語り口はまるで、おちょこを交わしながら肩の力を抜いて過ごす夜のよう。彼の体験と一緒に、“一杯の余韻”を味わっていただきたい。
▶この記事の目次
「いくらでも飲めちゃう(笑)」──新感覚にごり酒との遭遇

――今日の試飲で、特に印象に残ったお酒は?
「この『純米大吟醸 強力 おおにごり(千代むすび)』は、炭酸がちゃんとあるし、にごり酒なのに軽い。もっと重たいイメージだったんですけど、全然違いました。キリッとしてて、甘すぎない。いくらでも飲めちゃう(笑)。
暑い日にロックで飲んだら最高だと思います。アジのなめろうとか、合いそうだなって。今日の一番はこれですね。」
グラスを口に運びながら、「うわ、これすごいな」と漏らす仲村さん。ひと口で心が解けるような酒との出会いが、イベント前の緊張をほどいてくれたようだ。その表情は、思わず笑みがこぼれるような素直な喜びにあふれていた。
「知識がなくても“好き”は見つかる」

――普段から日本酒はよく飲まれるんですか?
「僕、日本酒は好きなんですけど、全然詳しくないんです。でも今日、いろんな話を聞いて、日本酒初心者の僕でも“知識がなくても楽しめる”って改めて思いました。
酒蔵の歴史や背景を聞いてから飲むと、味が違って感じられる。“人の顔が見える酒”っていいですよね。」
酒の裏側にあるストーリーが味わいを変える。そんな気づきに、仲村さんは何度もうなずきながら語った。名前やラベルの裏にある想いを知ることで、酒の世界が自分の中にスッと入り込んでくる。それはまるで、声の芝居に感情の背景が乗る瞬間に似ている。
「ラベルから始まる日本酒との一期一会」

写真左から①純米大吟醸 強力 おおにごり(千代むすび)②御慶事 純米吟醸 辛口(青木酒造)③御慶事 純米吟醸 夏の生酒(千代むすび)④御慶事 特別本醸造 無濾過生原酒(千代むすび)⑤純米大吟醸 山田錦50(千代むすび)
――日本酒を選ぶときの基準ってありますか?
「名前が気になるお酒とか、絵がかわいいラベルだとつい手に取っちゃいます。「これどういう意味だろう?」って思って調べてみたりして。そういう入口から好きになるのも、お酒との出会いとしてすごく自然ですよね。」
酒を選ぶ基準が“直感”というのが、仲村さんらしい。デザインやネーミングから酒との縁が生まれる。偶然の出会いが、新たな好きを導いてくれる。ジャケット買いならぬラベル飲み、それもまた立派な嗜み方だ。
「米を磨くほど日本酒の価値が上がる? なんか切ない」
――酒米の話など、今日はいろいろな日本酒の背景も聞きましたね。
「酒米って、食べるお米と違うんですね。しかも削れば削るほど高級になるなんて……もったいなくないですか?(笑)
瓶が足りないとか、天候で味が変わるとか、日本酒って本当に繊細なんだなって感じました。」
素材も人も、磨かれて初めて光る。でも、その過程にはたくさんの犠牲もある。そんな一言に、仲村さんの真面目な一面が垣間見えた。声優の世界でも、見えない努力が積み重なって作品は完成する。
「夜中、ちょっとだけ飲みたくなる」──家飲みの“静かな時間”

――ご自宅でも日本酒を楽しまれたりしますか?
「家ではそんなに飲まないけど、小さい瓶をいくつか冷蔵庫に入れてます。夜中ふと「ちょっとだけ飲みたいな」ってときがあって、ほんの一杯だけで満足できる感じがいいんですよ。
焼き鳥の塩と冷酒とか、そういうシンプルな組み合わせが好きです。」
夜が更けていく時間にひとりで飲む日本酒。それは、何にも縛られない“自由な自分”を取り戻すための、ささやかな儀式なのかもしれない。照明を落とした部屋で、ただ一杯の酒と向き合う時間に、仕事とはまた違う集中がある。
「歩いて整えて、酒でゆるめる」──声優という仕事とお酒の関係

――仕事終わりに一杯、というのはやっぱり格別ですか?
「ツアー前は喉を守るために1ヶ月以上お酒を断ちます。でも終わったあとはやっぱり飲みたくなる(笑)。
現場からの帰り道、ちょっと歩いて、そのまま一杯。それが自分のリズム。歩いてると自然と頭の中も整理されて、飲むとふっと緩むんですよね。
飲むことって、自分を取り戻す時間でもあるんです。リセットするというより、素の自分に戻れるというか。そういう時間をちゃんと持っておくのって、声の仕事にもきっと大事なんだと思います。」
「整える」ことと「ゆるめる」ことは、実は表裏一体。仲村さんの声に宿る温度感は、そんなセルフコントロールの繰り返しから生まれている。
「一期一会の会話がある場所」──スナックという舞台
――飲みの場での出会いや印象的なエピソードはありますか?
「街の居酒屋とか、旅先のスナックにも行くんです。地元のママとの会話が面白くて。バツイチ同士のカップルが「私がいないとこの人ダメなのよ」「うん、そうなんだよ」ってやり取りしていて。そういう空気感、大好きです。
その場限りの会話って、すごく贅沢ですよね。普段の生活ではなかなか出会えないような言葉や人に触れられるから、すごく刺激になるし、癒されもします。」
声優という職業は、実は“言葉の贅沢さ”に支えられている。短い一言、何気ない笑い、そんな瞬間が、作品にも活きてくるのかもしれない。
「お酒があると、人との距離が近くなる」
――仕事仲間との飲み会から、何か広がったご縁も?
「お酒があると、普段は話せないことも自然に話せたりする。収録後に一杯飲みに行くだけで、関係がグッと近くなったりするんです。
クリエイターの山中拓也さんとも、最初の出会いは飲みの場でした。それがきっかけで一緒に作品づくりをするようになった。ありがたいご縁です。」
酒を介したコミュニケーションには、不思議な力がある。心の壁が溶け、相手との距離がすっと近づく。仲村さんの作品に込められた“人の気配”は、きっとこうした瞬間の積み重ねなのだろう。
「このイベント、たぶん僕が一番楽しみにしてます」

――今回のイベント「超吟醸祭」への意気込みを教えてください。
「日本酒って、ハードル高く感じる人もいるかもしれないけど、「なんかこれいいかも」くらいの気持ちで来てもらえたら嬉しいです。
僕も、お祭りってワクワクするし、いろんなお酒に出会えるのがすごく楽しみなんです。ステージにも立ちますけど、出演者っていうよりは、むしろ“参加者”みたいな気分でいます(笑)。
実はお酒のイベントってあまり出たことがないので、今回がすごく新鮮で。だからこそ、変にかしこまらずに、初めての人でも「なんか面白そう」と思ってもらえる場にできたらと思っています。
会場で一緒に笑って、驚いて、「これうまっ!」って言えるような時間が過ごせたら最高ですよね。肩肘張らずに、気軽に日本酒を楽しめる空間だと思います。
僕自身、当日は日本酒ファンとしても楽しむつもりです。飲みすぎないように気をつけつつ(笑)、池袋で一緒にカンパイしましょう!」
イベントは、ステージの上と下の垣根を取り払うように、誰もが主役になれる空間だ。仲村さんのそんなスタンスは、来場者の緊張を解き、会場にやさしい空気を生み出してくれるはずだ。
イベント情報
・イベント名:超吟醸祭 powered by SIPORY
・開催日:2025年10月18日(土)・19日(日)
・会場:中池袋公園(東京都豊島区)
・仲村宗悟さん出演回:10月19日(日)第4部(11:00~13:00)
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(取材・写真:渡辺 和希 文:蒼井 しぽり)
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